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王朝の香り ~現代の源氏物語絵とエッセイ
王朝の香り

源氏物語54帖それぞれに因んだ絵を54人の日本画家が描き
54人の作家が、それぞれ源氏物語を語るという
何とも贅沢な本を書店で見つけたのは10年近く前のことでした。
当時、文庫本で1200円はちょっと高額でしたが、
54人のエッセイのトップが、大好きな熊井明子先生でしたので
迷うことなく、購入しました。

その本が、本日届いたジャパンハーブソサエティーの会報誌で
紹介されていましたので、懐かしくて、こちらでも取り上げてみました。

日本画家はあまり知らないのですが、巻末に54名の画家と
54名のエッセイストの略歴があるので、絵と見比べながら
見るのは楽しいです。
私は、第24帖「胡蝶」の絵を描いた稲田和正さんの絵が一番好きでした。
淡い色合いが好きなのか、もともと蝶が好きだから惹かれるのか
わかりませんが、書店で眺めていたときから、心惹かれていました。

他には、第38帖「鈴虫」の浜田昇児さんのブルーを基調にしたものや
第52帖「蜻蛉」の竹内浩一さんの絵がとても好きでした。

エッセイでは、編集者の意図に十分応えておられる
熊井先生の、「王朝の香り、源氏の香り」が、香りについては
一番傑出していました。
また、尾崎左永子さんの「春秋あらそいの負け時」は
紫式部から、こうなのよ、と語りかけられているような気がする
素敵なエッセイでした。

古典や、香りがお好きな方には、お薦めです。
文庫ですが、カバーがとても質の良い紙で、久しぶりに取り出しましたが
少しも劣化していませんでした。価値ある本だと思います。
【2012/09/01 20:08】 | book | page top↑
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